防爆技術Q&Aのページ

1. 防爆電気機器とはどんなものですか。

  シンナー,ガソリン,プロパンガスなどの爆発性のガスや液体を取扱う場所で使用する照明器具,
 制御機器,電動機,計測器や爆発性のガスや液体を貯蔵するタンク内のレベルや温度を監視する電気
 機器が,回路の短絡,断線などにより発生した火花や温度上昇などにより,爆発の点火源とならない
 ように対策を施した特殊な構造の電気機器のことです。

2. 防爆構造とはどんな構造ですか。

  防爆電気機器は爆発の点火源とならないように,一般の電気機器を改造した特殊な構造になってい
 ますが,その構造は国が定めた規格で次のような種類があります。
 1)耐圧防爆構造  :電気機器を収納する容器を頑丈にするなどして,容器内部に入ったガスが爆
            発しても容器の周囲に存在するガスには点火しないように対策を施した構造
 2)安全増防爆構造 :コイルや電球など通常の使用では爆発の点火源とはならない電気機器を,点
            火源と考えられる事故が起こらないように事前に対策を施した構造
 3)内圧防爆構造  :電気機器の周囲のガスが容器内に入らないように容器内に空気を連続して送
            風し,容器内の圧力を一定の値以上に保持することにより,点火源とならな
            いようにした構造
 4)本質安全防爆構造:電圧,電流をあるレベル以下にすることにより,短絡などによる火花が発生
            しても周囲のガスの点火源にならないように回路上で電圧,電流などを制限
            した構造
 5)特殊防爆構造  :上記以外の方法で点火源とならないようにした防爆構造

3.危険場所とはどんな場所ですか。        

  防爆電気機器を適正に選定して使用するために,爆発性ガスが存在する危険性のある時間と頻度に
 応じて,危険場所は次の3つに区分されている。なお,危険場所以外を「非危険場所」といいいます。
  3つの区分を明確に分けることができるような判定基準は一部の場所を除きほとんどありません。
 1)0種場所:タンク内のように点火源があればいつでも爆発するような雰囲気が長時間が存在する
        可能性がある場所で,検定に合格した本質安全防爆構造の電気機器しか使用できない。
        一部の本質安全防爆構造の電気機器は0種場所で使用できないものがあるので,製造
        者等に確認が必要です。
 2)1種場所:蓋の開閉などで通常の作業中でも,点火源があれば爆発するような雰囲気がしばしば
        存在する可能性がある場所で,検定に合格した本質安全防爆構造,耐圧防爆構造の他,
        一部の安全増防爆構造,内圧防爆構造及び特殊防爆構造を除き使用することができる。
        安全増防爆構造などの電気機器は1種場所で使用可能か製造者等に確認が必要である。
 3)2種場所:バルブのシールパッキンの劣化などにより爆発性ガスが漏れて,点火源があればまれ
        に爆発するような雰囲気が存在する可能性がある場所で,検定に合格した防爆電気機
        器であれば使用できる。

4.防爆検定とはなんですか。

  防爆電気機器は爆発の危険性がある場所で使用するため,その構造に不具合があると爆発事故を引
 き起こす可能性があるので法律で防爆構造規格を定め,厚生労働大臣がその規格に適合していると認
 めたものでないと爆発の危険性がある場所に設置して使用することを法律で禁じています。
  防爆構造規格に適合しているか否かをチェックするために防爆検定を行っていますが,この検定は
 国内では唯一,厚生労働大臣の検定登録機関として指定されている 社団法人 産業安全技術協会
 が実施しています。
  国内の防爆検定合格品をEU諸国で設置し使用する場合は,EU圏内の検定機関が実施した検定に
 合格したものでないと設置し使用することができませんが,同様に外国の検定機関で防爆検定に合格
 した製品でも,国内検定に合格したものでないと国内では使用することができません。
  なお,接続箱は防爆検定の対象にはなっていないため,検定に合格していないものを使用しても,
 防爆規格に適合する構造であれば今のところ法的には問題ありません。

5. 産業安全技術協会とは何をしているところですか。 

  防爆検定は厚生労働省が担当していますが,実際は厚生労働大臣の検定登録機関として 社団法人
 産業安全技術協会が防爆検定を実施しています。
  産業安全技術協会は防爆電気機器以外にも安全装置や保護具の検定などを行っている,厚生労働省
 の認可を受けた非営利団体です。

6. 防爆電気機器の配線工事は一般の配線工事と違うのですか。

  爆発の点火源は防爆電気機器だけでなく,その配線部分も点火源となる可能性があるので防爆電気
 機器に付属された取扱説明書などにしたがって配線工事を行う必要があります。
  防爆電気機器の配線工事には次の3種類があります。
 1)ケーブル配線
    電気機器に付属された引込器具の適合ケーブル径の範囲で,断面が円形で線間に介在ジュート
   があるCVV(制御用)ケーブルなどを使用し,引込器具内のパッキンを適正に締め付けること
   により確実に密封する。 ただし締め過ぎるとケーブルが変形して断線や絶縁耐力が落ちる可能性
   があるので,締め過ぎないように注意して施工する。
    クランプ付きの引込器具は,外部からケーブルに加わる力によりケーブルがずれないようにク
   ランプを確実に固定する。
    引込器具外部のケーブル部分は厚鋼電線管や厚さが1.2mm以上の金属製カバーなどを使用し
   て外傷保護の対策を施すこと。なお外傷の可能性が少ない場所ではプリカチューブなどを使用して
   もよい。
    なお,移動して使用する機器には3種キャプタイヤケーブルまたは同等以上のケーブルを使用
   する。
 2)金属管配線 
    IV線(600Vビニル絶縁電線)または同等以上の絶縁電線を使用して配線し,厚鋼電線管に
   防錆,防水処置を施こして5山以上ねじ込みロックナットをする。シーリングフィッチング,
   ジャンクションボックス,エルボなどの電線管用付属品は防爆用のものを使用する。爆発の火炎
   及び爆発性ガスの流動を防止するために製品に付属された取扱説明書などの指示にしたがって
   シーリングフィッチングを設け,シーリングコンパウンドを確実に充填する。
    一部の耐圧防爆構造の電気機器では,機器から45cm以内にシーリングフィッチングを設け
   シーリングコンパウンドを充填しないと防爆性能上の問題があるので,耐圧防爆構造のシーリン
   グフィッチングを使用しシーリングコンパウンドを確実に充填する必要がある。

 3)本安回路配線
    本質安全防爆構造の配線は,他の回路から静電誘導や電磁誘導を受けないように,次のような
   点に注意して配線工事を行い,本質安全防爆性能を保持する必要があります。
    本質安全防爆構造は最も危険性の高い0種場所でも使用できる最も安全な防爆構造ですが,正
   しい配線工事がされないと,点火源となる可能性もあるので十分注意して配線工事を行うこと。
  a)本質安全防爆回路の配線は,単独で金属管に入れたり鋼製の隔離板を使用するなどして,一般
    回路と分離し他の回路と混触しないように配線する。
  b)本質安全防爆回路の配線には,静電誘導及び電磁誘導の防止に有効なケーブルを使用する。
    配線に使用する電線導体の断面積は0.5mm以上を使用すること。
  c)本質安全防爆回路の配線を接続箱内で接続,分岐する場合は,接続箱は本質安全防爆回路専用
    とし,他の一般回路と共用しないこと。また,追加工事等で誤使用のないように本質安全防爆
    回路であることを明確にする表示をすること。
  d)非危険場所のパネル内に安全保持器を設置する場合は,一般回路と危険場所に繋がる本質安全
    防爆回路が混触しないように配置に注意して,一般回路との混触を避けるためにカバーなどを
    取付けた中継端子台を使用して配線する。本質安全防爆回路に使用するシールドケーブル,絶
    縁電線及びダクトには青色のものを使用するなどして誤配線,混触などが起こらないように配
    線すること。
  e)詳細については製品に付属された取扱説明書をよく読み,不明点は製造者に直接確認するなど
    して本質安全防爆性能を保持できるように配線を行ってください。

7. 防爆電気機器の接地は一般の電気機器と同じでよいですか。

  電気設備技術基準では感電防止のために接地しますが,防爆電気機器では充電された金属容器に人
 が触れたり接地金属が接触することにより,火花が発生し爆発の点火源となる可能性があるので,確
 実に接地する必要があります。
  本質安全防爆構造の一部を除き,金属製容器の防爆電気機器には内部と外部に接地端子が設けられ
 ているので接地線が断線しないように,できるだけケーブルの1線を使用して内部の接地端子を接地
 する。接地抵抗値は300V以下であれば100オーム以下,300Vを超える低圧用は10オーム
 以下となっている。
  なお,本質安全防爆構造の電気機器では24V以下の回路でも防爆性能上,接地が必要なものがあ
 るので製品に付属された取扱説明書などにしたがって接地工事を施すこと。
  また,本質安全防爆構造のツェナーバリヤなどと呼ばれるものは「A種接地」が要求されるものが
 あるので,製品に付属された取扱説明書などにしたがって接地工事を施すこと。

8.「d2G4」と「ExdUBT4」は何が違うのですか。

 現在,日本の防爆検定に適用されている規格には,次の2種類あります。
  1)電気機械器具防爆構造規格(昭和44年労働省告示第16号):(以下,「構造規格」と呼ぶ)
  2)技術的基準(IEC規格79関係):(以下,「技術的基準」と呼ぶ)
  したがって,構造規格を適用して検定合格したものは「d2G4」のように防爆電気機器に表示され,
 技術的基準を適用して検定合格したものは「ExdUBT4」のように「Ex」がついた記号が表示さ
 れています。
  構造規格は昭和44年に検定制度が始まったときに制定されたもので,技術的基準はIEC規格に適
 合する海外で製造された防爆電気機器を日本でも改造することなしに防爆検定に合格できるように昭和
 63年に制定(平成8年に改正)された規格です。防爆電気機器メーカーは自社の都合で「構造規格」
 と「技術的基準」のどちらの規格でも検定を取得することができます。
  適用される規格が異なるため構造が違いますので,適用危険場所や配線工事などが異なる場合があり
 ますので防爆電気機器に付属された取扱説明書などを良く読んで正しく使用してください。
 
  

9.内圧防爆構造の機器に金属管配線する場合にシーリングフィッチングは必要ですか。

  内圧防爆構造は電気機器の内部に空気などを送風して,内部に侵入した爆発性ガスを爆発を生じない
 濃度になるまで希釈し,容器外部からの爆発性ガスの侵入を防ぐことによりて防爆性能を得る構造です。
 したがって電気機器に通電する前に電気機器の内容積の5倍以上の空気を送風してから通電できるように
 インターロックされています。
  シーリングフィッチングをしないと配管部分の内容積を機器の内容積に加えてインターロック条件を
 決めなければいけませんが,一般的に電気機器のメーカーは配管部分の内容積まで考慮したインター
 ロックの条件にしていませんし,配管部分を密閉しないとそこから空気が漏れ容器内の圧力を確保する
 ために運転流量が増え,密閉すれば空気を送風しても爆発性ガスの逃げ道がないので配管内に爆発性ガス
 が滞留したままになるので防爆上好ましくありません。
  内圧防爆構造の電気機器を金属管配線する場合は,送風する空気などを密閉する目的でシーリングフ
 ィッチングが必要です。シーリングフィッチングを取り付ける位置は他の防爆構造と同様に電気機器か
 ら45cm以内が基準ですが,耐圧防爆構造のようにシビアに考える必要はありません。
  配線工事について特別な条件が付いた防爆電気機器があるかもしれませんので,取扱説明書などを確
 認の上,配線工事を施工してください。

10.安全増防爆構造の機器を1種危険場所に設置してもよいのですか。

  防爆検定に適用される規格には「構造規格」と「技術的基準」の2種類ありますが,「構造規格」を
 適用した安全増防爆構造の機器は1種場所では使用できないようになっていますが,「技術的基準」を
 適用した機器は1種場所でも使用できることになっています。
  同じ安全増防爆構造でも,規格の違いにより安全対策の厳しさが違うと理解してください。
  技術的基準に適合する機器には,本質安全防爆構造でも「Exib・・・」と表示された機器は0種
 危険場所には設置できませんので,機器を選定する際には注意してください。
 

11. ツェナーバリヤを使えば危険場所にどんな機器を設置してもよいのですか。

  ツェナーバリヤを使用することによって危険場所に設置した機器に爆発性ガスが着火するようなエネ
 ルギーが電源側から供給されることはありませんが,機器内に大きいコイルやコンデンサのようなもの
 を持っているものはエネルギーを蓄えて開放や短絡によって一気に放出され,爆発性ガスの点火源とな
 る可能性があります。また小さい抵抗器などに定格電力を超えるエネルギーが供給されることにより,
 表面温度が上昇し,爆発性ガスの点火源になることも考えられます。
  したがって,ツェナーバリヤを使用していても危険場所に設置する電気機器がそのツェナーバリヤと
 組み合わせて使用すれば安全であることが確認された防爆検定に合格したものを使用する必要がありま
 す。


12.「許容温度70℃以上のケーブルを使用すること」となぜ記載されているですか。

  防爆電気機器の注意銘板などに,配線に使用するケーブルの許容温度を指定したものがあります。
  これは日本でよく使用されているCVVケーブルなどの許容温度が60℃であり,電気機器の発熱お
 よびケーブル自身の発熱によりケーブルの許容温度を超えるため,注意銘板などで表示するように検定
 の使用条件があるからです。
  実際に使用しても電気機器表面やケーブル表面の温度上昇がないものであっても,電気機器の最高使
 用周囲温度を60℃まで使用できるように検定を取得すると許容温度60℃のケーブルでは周囲温度が
 60℃のときには,温度上昇値が1℃であっても許容温度を超えるために許容温度60℃のケーブルが
 使用できなくなります。
  電気機器の製造者がより高い周囲温度で使用できるように検定を取得すると,このように配線ケーブ
 ルを制限されることがありますので,温度上昇のほとんどない電気機器では最高使用周囲温度を55℃
 として,許容温度60℃のケーブルが使用できるようにして検定を取得している製造者もいます。

 

        <記載された内容の無断転用を禁じます>    

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